Windows歴20年だった私が、なぜMacとの「二刀流」に行き着いたのか 2巻

IT管理者としてみる差


1巻では、PC-98の消滅からWindowsがビジネスを制覇するまでの歴史を振り返りました。その中で触れた「Active Directoryによる統合管理」——今回はここをもう少し深掘りしながら、現場の視点でWindowsとMacの差を語っていきます。


Windowsが「管理できる」とはどういうことか

社内SEとして現場に立つようになって最初に実感したのは、「管理できること」の重要性でした。

10台、20台程度であれば、一台一台手作業でセットアップしてもなんとかなります。しかし組織の規模が大きくなるにつれ、そのやり方は一気に破綻します。誰がどのPCを使っているのか、どのソフトが入っているのか、セキュリティの設定は正しいか——これらを人力で管理しようとすると、際限なく時間が溶けていくのです。

Windowsがその答えとして提供したのが Active Directory(AD)です。ADを使えば、ユーザーアカウントの一元管理、グループポリシーによるセキュリティ設定の一括適用、ソフトウェアの自動配布が可能になります。「全PCに同じ設定を一瞬で適用する」——これが当たり前にできる環境は、IT管理者にとって本当に心強いものでした。


ではMacは「管理できない」のか

「MacはADに参加できないのか?」と聞かれれば、答えはNOです。実はMacもActive Directoryのドメインに参加させること自体は可能です。ただし、Windowsほど細かいポリシー管理ができるかというと、当時は限界がありました。

かつてAppleはmacOS Serverというソフトウェアを提供しており、OpenDirectory(LDAPベース)でMac同士を統合管理する手段がありました。私自身、これを構築した経験があります。正直に言うと、かなり苦労しました。ノウハウが少なく、情報も少ない。うまく動いたと思ったら次のmacOSのアップデートで挙動が変わる——そんな繰り返しでした。そのmacOS Serverも2022年に実質廃止となり、現在はその手段自体がなくなっています。


現代の答え:MDMという選択肢

では、今はどうなのか。

現在Macの統合管理で主流となっているのがMDM(Mobile Device Management)という仕組みです。代表的なものとしてJamf Pro / Jamf Nowがあり、Mac専門の管理ツールとして多くの企業で採用されています。またMicrosoft Intuneを使えば、WindowsとMacを同じ管理コンソールから一元管理することも可能になっています。

管理の仕組みが進化した背景には、働き方の変化もあります。
BYODやSaaSへのシフト、データマネジメントの進化があげられるかと思います。

PCは会社の資産。という考えではなく、データが会社の資産 という考えに代わってきたのかと思います。外資やベンチャーでは、この発想の元になりつつあるのかと。
ある外資では、PCは貸与品ではないと聞きますし、SaaSを含めI/Fがブラウザであれば
コントロールすることは容易くなりますので、ガバナンスを聞かせることも可能だと思います。


Microsoft 365があれば、MacでもほぼWindowsと同じ

管理の話と並んで、現場で感じる大きな変化がもう一つあります。Microsoft 365の普及です。

かつてOffice製品の互換性はMacを選ばない大きな理由の一つでした。Windowsで作ったExcelファイルをMacで開くとレイアウトが崩れる、マクロが動かない——そういったトラブルは日常茶飯事でした。

しかし現在のMicrosoft 365は、WindowsでもMacでも同じアプリが動きます。TeamsもOutlookもOneDriveも、使い勝手にほとんど差がありません。クラウドベースで作業する時代になったことで、OSの違いが実務に与える影響は劇的に小さくなりました。

実際、私の周囲でも「Microsoft 365さえ動けば何でもいい」という感覚で仕事をしているメンバーが増えてきています。


それでもWindowsが「標準」である理由

ここまで読むと「じゃあもうMacでいいじゃないか」と思われるかもしれません。しかし現場ではまだWindowsが圧倒的主流です。

その理由の一つが、既存システムとの相性です。社内の基幹システム、業務アプリ、VPN環境——これらの多くはWindows前提で構築されています。動作確認もWindowsでしか取っていないケースが多く、「Macでも使えるはずだが誰も検証していない」という状況が珍しくありません。

もう一つがサポートコストです。社員全員がWindowsを使っていれば、IT部門は一種類の環境だけサポートすれば済みます。Macが混在すると、トラブル対応のパターンが増え、担当者の負担も上がります。

「Macが使えないわけではない。でも、わざわざ変える理由もない」——これが多くの企業IT部門の本音ではないでしょうか。


では個人・フリーランス・小規模組織はどうか

企業のIT管理の話をしてきましたが、視点を変えると話は違ってきます。

個人や小規模なチームであれば、Active DirectoryもMDMも必要ありません。Microsoft 365さえあれば、MacでもWindowsでも仕事の質は変わらない。むしろMacのバッテリー持ちや静音性、トラックパッドの使い勝手が日々の快適さに直結してくる場面も多いです。

私自身がMacを買おうと思ったのも、「大企業のIT管理」ではなく「自分一人の開発・発信環境」としての判断です。その文脈では、Windowsである必要はもはやありません。

ですが、ビジネスとして行う時点で、セキュリティやデータ管理、マナー等の面でできていない。はありえないと思います。知りませんでした。で済む世界ではないと思います。


例えば、AIにユーザデータを読み込ませる。これは業務効率を上げる。観点ではよいことの様に思えますが、学習に使われてしまう、ログとして外部保存されてしまう。等のリスクもはらんでいます。ITでビジネスを行うのであれば、企業規模問わず行う必要があると考えます。


まとめ

観点WindowsMac
統合管理Active Directory・グループポリシーで強力MDM(Jamf・Intune)で対応可能
Microsoft 365ネイティブ環境ほぼ同等に利用可能
既存システム互換強い要確認が必要なケース多い
個人・小規模利用問題なし問題なし・むしろ快適な面も

ビジネスの現場でWindowsが主流であることには、今もちゃんとした理由があります。しかしその理由は「Macが使えないから」ではなく、「Windowsの方が管理しやすく、リスクが少ないから」に変わってきています。

次巻では、もう少し個人目線に降りて、日常の細かい使い勝手の差を語っていきます。